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2020年12月24日

【アンケート資料DLできます】 家族・夫婦のくらしはどう変わった? ——12/3開催「家族データから見るおうちのDX化」イベントレポート

イベント

いまある家族像や夫婦のくらしの実態についてさまざまな視点で議論するために「家族データから見るおうちのDX化」と銘打ったイベントを2020年12月3日に開催しました。


2005年を境に日本全世帯のうち「単独世帯」と「夫婦と子世帯」の割合が逆転*。いわゆる核家族と呼ぶ家族の世帯数が単身者を下まわっているのをご存知ですか?

刻々と変わりゆく社会状況にあわせて、大きな変化が起きているもののひとつが「家族・夫婦のくらし」です。

そこで、いまある家族像や夫婦のくらしの実態についてさまざまな視点で議論するために「家族データから見るおうちのDX化」と銘打ったイベントを2020年12月3日に開催しました。

今回はゲストにサンスター兒嶋さん、モデレーターにMoonshot菅原さんをお招きして、TimeTreeの吉本と3人で、マーケターとしては押さえておきたい家族・夫婦のくらしの実情について議論していきました。(イベント概要はこちら

*出典:国立社会保障・人口問題研究所 http://www.ipss.go.jp/ 

新しい家族の特徴があるはずだ! TimeTreeユーザーのみなさんにアンケートしてみました

「みなさんの描く”家族像”ってどんなイメージですか?」 モデレーター菅原さんの問いかけからイベントがスタート。ステレオタイプな家族像を持っていませんか?と課題を投げかけました。

菅原 マーケターとして家族をみたときにすごくステレオタイプになっているよね、とTimeTreeの吉本さんと話をして盛り上がって。このイベントをやるきっかけになったんですよね。今回は消費財のマーケター視点で、サンスターの兒嶋さんにも参加いただけてとてもうれしいです。 兒嶋・吉本 よろしくお願いします! 菅原 お父さんが外で汗かいて働いて、お母さんはおうちで家事していて、子どもは外で遊んで泥だらけで帰ってきて……みたいなテレビCMってよく観ますよね。会場のみなさんにも問いかけたいんですが、「家族」って考えるとこういうイメージを持ちますよね。 でも、いまの家族像って結構違うんですよね。統計をみると「夫婦と子」のいわゆる核家族世帯数が単身者よりも少なくなっている。みんながまずイメージする家族って30%もいなくて、マーケターとしては世の中の家族イメージが「なんか違うんじゃないかな?」って思うんですよね。 おそらく「夫婦と子」世帯は減っただけじゃなくて新しい特徴があるはずです。そう思って吉本さんにお願いをしていろいろ調べてもらったんです。 吉本 そうですね。TimeTreeはおかげさまで、日本にいる25〜34歳ご夫婦の1/4世帯に利用いただいています。ユーザーイメージは3パターンほどあって、「共働き夫婦2人暮らし」「未就学児のいる家族3人暮らし」「新婚の2人暮らし」です。そして今回のイベントにあわせてユーザーのみなさんにアンケートを取りました。 菅原 1,695名もの方にお答えいただいたんです。TimeTreeのアプリ内でアンケートを投げてもらったらすぐに集まったんですよね。 兒嶋 インセンティブもないんですよね? すごいですね! 菅原 すごい。ありがたいですね! ではここからはパネルディスカッション「データで読み解くコロナ禍以降の家族や夫婦の生活様式の変化」を進めていきましょう。 今回のコロナ禍が起こった前後で生活がどう変わりましたか?と、TimeTreeカレンダーの使い方がどう変わりましたか?について聴きました。

今回のイベントにあわせて、TimeTreeをお使いのみなさんに「コロナ禍前後での生活の変化」をテーマにアンケートを実施しました。ここからアンケート結果をもとに、家族や夫婦の生活の変化について兒嶋さん、菅原さん、吉本の3人で読み解いていきました。

【パネルディスカッション 1】 データで読み解くコロナ禍以降の家族や夫婦の生活様式の変化

就業状況の変化について

菅原 まずは就業状況の変化について伺いました。「現在は働いている」と「現在は働いていない」で変化した人が全体の5.4%いましたね。この数字をお二人はどうみてみますか? 兒嶋 個人的には、あまりコロナの影響を受けての変化という印象はなかったですね。普段から起こり得る範囲の変動かなと感じました。 吉本 コロナ禍の影響はタイムラグがあって現れてくると言われてますよね。今の段階で5%くらいの変化も、来年の春くらいには膨らんでくるんじゃないかなと感じました。 兒嶋 たしかに景気変動はこのあともっと顕著に起こってくるはずなので、変化の数値は増えていくと思いますね。 菅原 日本国内の失業率などをみても、まだ影響は少ないなという印象がありますよね。

出勤状況の変化について

菅原 出勤状況についても聴きました。出社から在宅、またその逆へ変化した人の総数が全体の16.7%でしたね。この数値についてどう思いますか? 兒嶋 在宅勤務に変わった人が14%もいるのはすごい変化だと思いつつ、思ったよりも多くない印象がありますね。逆に変化していない人の数がまだまだ多いことが分かる目が覚めるようなデータでしたね。 菅原 このデータを見ると私たちマーケターが気をつけたいポイントがありそうですよね。兒嶋さん、吉本さんの周りでは在宅勤務への移行が多いだろうし、オンライン会議などもあたりまえになっていますよね。 でも世の中を見ると普段どおり出社されている方がまだまだ多い。5割以上の業種では在宅勤務が難しい状況だというデータもありましたね。僕らから見える世界と、世の中の動向は少し違うんだと考えた方がいい。つまりコロナ禍前後で大きな変化がまだ起きていないってことなんですよね。

週あたりの就業時間の変化

菅原 一方で特徴的だったのが「就業時間の変化」です。変化した人が全体の22.9%いました。そのうち就業時間が減った人が16.4%と多かったのが印象的ですね。 兒嶋 実働時間は変わっていなくても、通勤時間や移動時間が減ったことで全体の就業時間が減っているのかもしれませんね。 菅原 もともと出社されていた方が往復2時間の通勤だとして、その分がなくなって週の就業時間が週に10時間減ったというのは妥当な数字に見えますね。

予定の変化

菅原 続いてはTimeTreeに実際に登録されている予定の変化についてです。 吉本 TimeTreeに登録されている予定を分類して、2月、4月、7月で定点観測をしました。 顕著に変動したのはやはり「飲み会」ですね。それでも2月から4月の変動をみても2位から5位。予想よりも変化が少なかった印象があります。「健康」についても4〜6月あたりから変動が大きかったですね。 兒嶋 私たちの事業でも「健康」に関して面白いデータがありました。コレステロールを下げる特定保健用商品の売り上げが好調なんですが、キーワード検索からの流入が思わしくなかったんです。 その原因が、コロナ禍で健康診断の予定を延期したからだと分かったんです。検査をしなくなったので自身のコレステロール値を知る機会がなくなった。それに連動して需要も減っていたんです。7月ごろからは数値も上昇して逆に売り上げが増えていったんですよね。

カテゴリー別の変化

吉本 そのほかのカテゴリーについても、2月を100としたときの変動を調べました。エンタメ・飲み会などのアクティビティは半分になってますね。旅行やスポーツ観戦に関しては、7月ごろにGoToキャンペーンなどもあって回復傾向にありますね。 美容・健康については変化が顕著でしたね。やっぱり在宅での仕事や自粛が続いた影響で、7月ごろから徐々に身体に気を遣うことが増えていったんだと思います。 菅原 意外と通常の生活が戻ってきている印象がありますよね。 兒嶋 あと気になるのは「予定化されない予定」ですよね。一人ひとりの可処分時間は増えているのに予定の総量は減っている。その隙間時間はどこにいっているんだろう?と。 吉本 この統計にはあらわれないエンタメとか、ショッピングの予定も増えているんでしょうね。 兒嶋 そうですよね。ネットフリックスを観るのにわざわざTimeTreeに「ネットフリックスを観る」って予定を登録しませんもんね(笑)。そのあたりの見える化しない時間はありそうですよね。

前半のパネルディスカッションでは、人びとの生活や行動が2月から今まででどのように変化したのかを俯瞰しました。後半のパネルディスカッションはデジタルツール・サービスの利用状況の変化などを見ながら「昔と現在の家族像のギャップ」について話を進めていきました。

【パネルディスカッション 2】 昔と現在の家族像のギャップの解消

菅原 ここからのテーマ「家族像」については、マーケターにとって大事な命題だと思っています。冒頭の統計に戻りますが、私たちマーケターはまだ赤字の「夫婦と子世帯」の家族像をもってコミュニケーションしていませんかね? 兒嶋 たしかに核家族の世帯数は減ってます。でもこの統計にはワナがあると思っていて。あくまで世帯なので、人数で考えるとまだ「夫婦と子世帯」が多いんですよね。だから消費財で考えるとまだまだ消費量は減っていない。そこを見落としてしまうとまた間違ったコミュニケーションをしてしまうかもしれませんね。 吉本 私もこの辺りの統計は気になっているんです。TimeTreeもプロモーションでテレビCMを放映していましたが「家族の理想像」みたいなものを描くとあまり共感されないんですよね。夫婦のフラットな関係やコミュニケーションを描いた方が現実感があって、市場からの反応も良かったですね。

世の中の家族像の認識は……?

菅原 こんな統計もあります。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という問いに、30代・40代で賛成が30%以上もある。30代、40代のユーザーについて吉本さんはどのような実感がありますか? 吉本 TimeTreeのマーケティングを考えるときも30代・40代で大きな区切りがある気がしています。たとえば、ある世代以上の男性になると家族と予定を共有することに抵抗を持たれる印象があります。プライベートな予定を相手と共有することに慣れていないのかもしれません。 その点を考えてマーケティングコミュニケーションでもはっきり変えています。私と同じ世代の30代に向けては「家族やパートナーとのすれ違いをなくしましょう」とメッセージしています。それ以上の世代になると「家族やパートナーと共通の予定を共有しましょう(例えば子育てなど)」にしています。 菅原 なるほど。コミュニケーションの違いは面白いですね。

家族間で利用しているサービス:写真共有

菅原 写真のオンラインストレージ・共有サービスについて、利用状況を伺いました。こちらについてはいかがですか? 吉本 8割以上の方々が利用しているのは驚きでしたね。写真のオンラインストレージは最近できたサービスだと思いますが、予想以上に利用が進んでいるのが印象的でした。

家族間で利用しているサービス:食材宅配サービス

吉本 食材の定期宅配サービスについては、予想に反して利用が進んでいないのが印象的でした。 菅原 なるほど。サービスを有効に使って家族間で生活をより合理的にしていこう、って方向にはまだ進んでいないのかもしれませんね。

家族間で利用しているサービス:スマートスピーカー

吉本 スマートスピーカー利用についての数字も面白かったですね。つい最近市場に出てきたプロダクトにしては、8世帯に1世帯で使われています。意外と普及し始めているんだなと驚きました。 兒嶋 資本力のあるブランドが集中的に出していたし、子どもがいらっしゃる世帯では使われやすい商品なので普及し始めているのかもしれませんね。

ここまでで、アンケート結果をもとに家族や夫婦の生活の変化についてサンスター兒嶋さん、Moonshot菅原さん、TimeTree吉本の3人で議論してきました。最後にQ&Aセッションで会場からの質問に3人が答えました。

Q&A

Q. 男性・女性やお父さん・お母さんでTimeTreeに登録される予定の違いはありますか?

吉本 特にお子さんの予定管理については、まだまだ女性側が登録したり更新することが多いですね。男性はどちらかというとお仕事や自分の趣味などの予定が多くなっている傾向がありますね。

Q. TimeTreeのCMの反響は?

吉本 昨年の11月22日(いい夫婦の日)にブランドムービーをTV放映したんです。その中にはLGBTの方々や、国籍の違う夫婦など、様々な家族の形を紹介しました。放映後にはソーシャルメディアで多くの反響をいただきましたね。その中で多かったのは「これはTimeTreeのCMだったの!?」という驚きのコメントが多かったです。

Q. 家族向けのプロモーションで気をつけていることはありますか

兒嶋 夫婦の役割を固定しないようには気をつけていますね。僕は主にデジタルメディアでプロモーションしていますが、個々のユーザーに直接メッセージングできるんですよね。なので、直接語りかけるようなメッセージが多いですね。デジタルメディアとマスメディアではコミュニケーションがかなり変わってくるなと感じています。

Q. コロナ禍後にマーケティングの手法が変化することはありますか?

兒嶋 変化はないかなと考えています。デバイスを見ている時間が伸びるからデジタルの在庫量が増える、など単純な変化はあると思います。そのときの状況に合わせてブランドのメッセージを変えていくことはあっても、ブランドの理念は変わる必要がないと思います。

Q. 日用品や消費財のプロモーションはお父さん、お母さんどちらに発信するのがよいですか?

兒嶋 一概には言えないんですが、日用品や毎日使う消費財に関して、現状では意思決定者がお母さんであることが多い。そういう状況は考えながらプロモーションしていますね。

Q. マーケターとして数年後の家族像はどう変化していると思いますか?

兒嶋 劇的な変化はないと思いますが、僕たちが思い描くような新しい家族像が増えていくのは事実だと考えてます。イノベーター理論でいうキャズムを超えることは起こるだろうと思います。 吉本 TimeTreeを使っていただいているような家族が増えていくだろうなと思っています。つまり比較的フラットな関係性を築いている家族ですね。共働き世帯はもっと増えていくでしょうし、収入の差も減っていくと思います。そうなると関係や役割がほとんど同じになっていく家族が増えていくんだろうと予想しています。

いかがでしたでしょうか? 

自分たちの認識と客観的なデータを常に照らし合わせながら、マーケティングやプロモーションの内容を調整し続けていくマーケターの意識や仕組みが大切ですね。

TimeTreeではこれからも定期的に家族・夫婦像について考える場をつくる予定です。ご期待ください!

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