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2022年1月18日

良い会社ってなんだろう?|TimeTreeの #オープン社長報

オープン社長報

TimeTreeのオープン社長報は、CEO Fred(深川 泰斗)が社内に向けて書いた、いま考えていることやメンバーに向けたメッセージをだれでも読める公開版としてお届けします。

第1回目は「良い会社ってなんだろう?」をお届けします。

真剣にものづくりをするひとにとって楽園みたいな場所にしたい

私がTimeTreeを創業前に在籍していたヤフー株式会社は、いまでも良い会社だと思っています。在職中もずっと「良い会社」だと思ってたのしく働いていました。それでもやはり「なんでこうなってるのかな?」「これはなんのためにやってるのかな?」と疑問に感じることや不満を持つことはありました。

自分がTimeTreeを創業するときには、自分の考える「良い会社」のイメージも持っていましたし、そういう課題はクリアできると思っていました。

創業メンバーのLouis、Stud、Emma、Halとは、会社を立ち上げた当初「目的のわからない仕事は無くしたいね」とか、「真剣にものづくりをするひとたちにとって楽園みたいな場所をつくりたい」と話していたのを覚えています。

会社もサービスもまだ小さかった頃は、全員がアプリの細かい仕様を知っていた。銀行口座の残高とか、お互いのお休みもすぐに分かった。会社のことはだいたい全部分かりあっていました。そこには仕組みや制度が必要なくて、それぞれ自然に動きが取れていました。

TimeTreeのサービスが軌道に乗りはじめて、ユーザーが増え、一緒にはたらく仲間が増え、会社が大きくなっていくにつれて、「ヤフーでやっていたあの制度、あの仕組みは、こういうことだったのか!」と気づくことも多くなっていきました。

当たりまえだけど、無駄なことをわざと増やそうと思って会社の制度や仕組みをつくる人なんていないですよね(笑)。

多様なひとが集まって仕事をするの、超むずかしくない!?

それともうひとつ。社長として会社運営を続けていくと「『良い会社』とは、自分にとっての良い会社だったのでは?」と気づかされました。

僕は、新しいアイデアや議論の中から思いもよらない解決策が出る瞬間が大好きです。そのためにドキュメントもたくさん書くし、ロジカルな考え方が好きだし、相談や議論もトコトンしたい。逆に数字を追い求めたり細かい数値を分析する、みたいなことが苦手。

そして、あるときふと気づいたのが、「そんな自分みたいなひとにとってだけ働きやすい会社を、自分は良い会社だと思ってたのではないか」ということ。得手不得手、好き嫌い、多様で多彩なひとがいると分かっているつもりでも、結局ものさしは自分自身だったんです。

さらに、世の中には「会社」ってたくさんあって。あまりにもあたりまえの存在なので疑問に思いませんでしたが「そもそも、考え方や価値観がちがうひとが集まって仕事を分担したり、創ったりするの、超むずかしくないか!?」ということ。

沢山のひとが連携しながらスムーズに働くための仕組み、基本的に不可能じゃない……? 相当な労力をかけて、工夫と発明を続けないと無理じゃない……? と。

でも無理だと思っていることをやらないと、大きな価値を世の中に届けるサービスをつくれない。

……とこれもまた当たり前のことに気づきました。そうなると「良い会社」ってなんだろうは、もう一回考え直しです。じつはいまでもわからない。

みんなにとって100点満点の会社はないんじゃないか

みんな考え方も働き方も違うから、みんなにとっての「良い会社」はそれぞれ違うんじゃないのか。たとえば、なにか会社の仕組みを変えたら「誰かにとっては嬉しい」けど「他の誰かにとっては残念」なことが起こる。そんなことばかりじゃないのか。

あるひとにとっては良い会社ポイントが90点だけど、ある人にとっては70点。またある人にとっては40点。30点以下だと会社を辞めていくのかな。

90点のひと、40点のひと、その50点の差を無視していいのだろうか。「みんなにとって良い会社」がむずかしくても、その50点差を無視しないこと。より良いを追求し続けること。そういう在り方にしか「良い会社」はないのかもしれない。

「どうせ私が言っても変わらない」にだけはしたくない。いつでも誰でも批判が言えて、会社がその批判に常に耳を傾ける。すぐに答えられなくても、完璧が無理でも受け止める。そういうことをやり続けるしかないのかもしれない。

『誰のために法は生まれた』(木庭顕、2018)の中で、ひとりが集団の犠牲になるようなとき、集団の権力をいっとき宙づり(保留)にするのは「なぜ?」と問うことである、という内容がありました。

「なぜ?」と問いかけると権力はそれに応えなければならず、そこに対等な関係が構築される。応じなければ権力はその根拠を失う。だから、TimeTreeのコアバリュー「Why」も重要なんだなと再認識しました。

もう一度。良い会社であるためには、会社や経営陣は、いつだれの意見でも、たとえそれが批判的な意見でも、とにかく聞く、いったんは受け止める。そしてみんなが「Why」を真剣に問うことがあたりまえであること。それを大事にすることかなと思いました。

今回はここまで!