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2022年6月7日

ビジネスにおける「倫理」について考える|TimeTreeの #オープン社長報

オープン社長報

TimeTreeのオープン社長報は、CEO Fred(深川 泰斗)が社内に向けて書いた、いま考えていることやメンバーに向けたメッセージをだれでも読める公開版としてお届けします。

第4回目は『ビジネスにおける「倫理」について考える』です。

「倫理」とはなにか

みなさんは「倫理」と聞いてどんな印象を持ちますか?

理想では気にかけるべきだけど、実際は問題にしづらいもの、綺麗ごと……。さまざまな印象を持つと思います。

僕は倫理を、道徳のように「人としてこうあるべき」という常識・命令のようなものでなく、そのときその場の状況でなにが「善い」とされるのか、そこに迷いが生じたときに考えられるものと捉えています。

たとえば、「患者には真実を告げるべき(道徳)だが、本人には伝えないでほしいと家族から言われている」、こんなときに医者の倫理が問われます。そのときどきの状況で倫理が問われ、一つひとつに答えを考えていき、倫理が徐々に構築されていきます。つまり明確な正解はありません。

じつはこの「倫理」、ビジネスの継続性に密接な問題なんです。そして「倫理」を問うことは、まだ世にないものを作り出そうと、新しい状況に直面し続けるスタートアップに特に大切なものだと思います。

「倫理」がないと問題が起きる、でも「倫理」だけじゃ続かない

世の中に新しい価値を作る、それをビジネスとして成り立たせる。この過程は迷うことばかりです。その中で倫理が関わらない場面はない。どうすべきか考え続けることにこそ倫理がある。

「倫理」が関わって事業になにか問題が起きるとき、その問題を防ぐことができなかった原因は「倫理に対する意識」「倫理を問う姿勢、文化」の有無だと思います。

一方で、倫理への意識だけでも企業は存続できません。どれだけユーザーに支持されても、収益が上げられなければ、いずれその事業や企業そのものがなくなるしかありません。

たとえば、TimeTreeで広告を表示する枠を追加したことでユーザーさんから苦情をいただくことがあります。広告が表示されることで収益が確保される一方で、ユーザーさんに不利益を与えているのかもしれない。しかし、本当の不利益とはいま頼りにしていただいているTimeTree自体がなくなることではないか。

哲学者であるブレーズ・パスカルの言葉に「カなき正義は無能であり、正義なき力は圧制である」があります。どんなに正しいことを言っていても実現する力がなければ意味がない。力があっても、正義がなければそれは暴力である。正義なき力は世間からの反抗にあい決して長続きしない。

スタートアップと「倫理」と「力」

先ほどのパスカルの言葉をスタートアップで言い換えると、力(収益など)なき理想はただの夢で、理想なき力は詐欺に近いもので長続きしないと言えるでしょう。

倫理なき力(収益)は短期的には儲かっても社会に本当の価値を生むことはなく、世の反感を買い存続できず、力(収益)なき倫理は世の中に好意的に受け入れられても、企業や事業が存続できない。

稼ぐためならなにをやってもいいわけではない。TimeTreeが無料で使えるのだからユーザーさんに「これくらいのことは我慢してね」と開き直っていいわけでもない。しかし、ちゃんと収益を上げていなければ、サービスは、企業は、継続できない。

収益優先かユーザー優先かの二項対立をできるだけ避けて、TimeTreeユーザーさんも、TimeTreeで働くメンバーも、TimeTreeを支えてくれるクライアントやビジネスパートナーのみなさんも、全員の価値が最大化されるように。迷いと付き合いつつ、倫理に立ち返りつつ、頑張っていきたいですね。

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