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2022年11月22日

【いい夫婦の日/家事・育児実態調査】 家事・育児シェアだけでは「時間への満足度」は高まらない?豊かな時間のヒントはコミュニケーションに #TimeDesignLab

Time Design Lab

#TimeDesignLab は「時間」との付き合い方を考えるプロジェクトです。時間の使い方や過ごし方について、さまざまな視点でみなさんと一緒に考えていきます。

本日は「いい夫婦の日」として知られる11月22日。夫婦やパートナーと共に豊かな時間を過ごす上でベースとなる「家事・育児の時間」に注目し、共働きでお子さんをお持ちの20~50代男女1534人に、家事・育児に関するアンケートを実施しました。

それぞれの「家事・育児への取り組み方」、「自由時間をどの程度持てているか」などが、「時間の過ごし方への満足度」とどう関連しているかを探っていきます。

調査結果からは、夫婦やパートナーでの家事・育児を、二人の「豊かな時間」にどう繋げるのかのヒントが見えてきました。

調査概要

調査地域:全国

対象者条件:共働き子あり家庭の20~59歳男女

調査手法:インターネットアンケート調査

調査期間:2022年10月7日(金)~2022年10月13日(木)

サンプル数:1543人

サマリー

家庭内の家事・育児を誰がこなしているかには男女の意識差が

まずは家事・育児について、「誰が主体になって取り組んでいるか」を聞いたところ、男性は「パートナー主体」、女性は「自分主体」と、男女ともに女性が家事・育児の主体と考える人が多い結果となりました。

一方で夫婦それぞれが主体的に取り組んでいると考える人達(家事・育児シェア層)の割合は、男性が27.4%に対して女性は13.6%と、男女間で大きな差が見られる結果に。

男性側ではお互いが主体的に取り組んでいると考えていても、女性側は自分のみが主体となっていると考えているケースが多い実態が見えてきました。

過半数が平日の自由時間は2時間未満と回答。家事・育児シェアが自由時間確保の鍵

次に、平日にどの程度自由な時間(24時間から仕事や家事・育児、食事や睡眠などを引いた時間)を持てているかを聞いてみました。

その結果、「1時間未満」もしくは「1~2時間未満」という答えが過半数を占め、子持ちの共働き夫婦の多忙さが明らかになりました。

この結果について男女で年代別に見てみると、女性は40代・50代と年代が上がるにつれて自由時間が増えていくのに対して、男性は年齢による変化は大きくありませんでした。

これは、今40~50代の女性は子育てが落ち着くと自由な時間が生まれることが多いのに対して、男性は自由時間以外の時間の中で、仕事の時間が占める割合が大きいからだと推測されます。

昨今は、以前に比べて女性の長期的なキャリア形成が求められるようになってきているため、年代が上がることによる自由時間の変化も、今後少し緩やかになるかもしれません。

さらに、「家事・育児の取り組み方別」で結果を見ていくと、夫婦それぞれが主体的に家事・育児に取り組んでいる「家事・育児シェア層」は、自分一人が家事・育児の主体となっている「自分主体層」よりも長く自由時間が確保できている傾向が見られました。また、この傾向は、20代30代の女性で特に顕著でした。

育児が特に大変な時期は、家事・育児のシェアが女性の自由時間確保に大きく繋がっているようです。

自由時間の長さは「時間の過ごし方への満足度」と関連あり。当てはまらない例外ケースも?

「自分が過ごしたいように時間を過ごせているか」という質問を通して、「時間の過ごし方への満足度」を男女別に聞いたところ、男女ともに「そう思う」あるいは「ややそう思う」と答えた(満足している)人の割合が過半数を超える結果となりました。

この結果について、「平日の自由時間の長さ」との関連を見ると、自由な時間が長く(2時間以上)取れている人は、短く(2時間未満)しか取れていない人に比べて「時間の過ごし方に満足している」人の割合が14.9%高く、「平日の自由時間の長さ」と「時間の過ごし方の満足度」には関連があることが見えてきました。

また、「家事・育児の取り組み方」との関連を見ると、男性は「自分主体層」、女性はパートナーが家事・育児の主体となっている「パートナー主体層」で「時間の過ごし方への満足度」が高く、男女で大きく異なる結果に。

興味深かったのは、「家事・育児シェア層」の20代30代の女性は、「自分主体層」と比べて平日の自由時間が多く確保できていたにも関わらず、「時間の過ごし方への満足度」は低くなっていたことでした。

この結果から、「自分が過ごしたいように時間を過ごせている」と感じる要因は、自由時間の長さ以外にもあると言えそうです。

作業を楽しめると時間の過ごし方にも満足感が。家事・育児シェア層では楽しみづらい実態も

続いて「時間の量」ではなく、「時間の質」を表す指標として、「家事・育児の時間をどのように感じるか」を聞いてみました。

結果、育児は家事に比べ「楽しい」と感じる(「とても楽しいもの」あるいは「どちらかというと楽しいもの」と回答した)人の割合が22.2%高く、「辛い」と感じる(「とても辛いもの」あるいは「どちらかというと辛いもの」と回答した)人の割合は15.2%低くなりました。

さらに、この結果と「時間の過ごし方への満足度」との関連を見てみると、家事・育児を楽しいと感じる人は「時間の過ごし方に満足している」人の割合が高く、逆に辛いと感じる人は「時間の過ごし方への満足度」が低くなっており、家事・育児を楽しく感じられることは、「時間の過ごし方の満足度」と関連があることが分かりました。

また、「家事・育児スタイル」との関連を見てみると、女性は「パートナー主体層」で家事・育児を楽しいと感じる割合が高く、男性は逆に「自分主体層」だと楽しく感じる割合が高いことが分かりました。それに比べると「家事・育児シェア層」は、男女ともに家事・育児を楽しいと感じる割合が低く、特に家事ではその差が顕著に見られました。

家事・育児ともに夫婦間のコミュニケーションが楽しさを増し、辛さを減らす要因に?

家事・育児をシェアしている人達が、それを「楽しい」と感じづらいのはなぜなのでしょうか?家事や育児を楽しい、辛いと感じる理由について聞いた自由回答から、読み解いていきます。

全回答者からのコメントをまとめると、以下の図のようなものが多くありました。

家事は、作業自体が好きだったり、やりがいを感じられたりしない限りは、大変で面倒なつまらないものと捉えられがちなようです。

実際、女性から寄せられたコメントには「誰からも感謝されない」「なぜ自分だけがやらなければいけないのか」といったものも目立ち、家事という作業をパートナーとシェアできないことや日々報われない気持ちを感じていることが垣間見えました。また、「家事・育児シェア層」でも、家事を「義務」や「ルーティン」など、やるのが当たり前のものと捉えているコメントが多く見られました。家事が好きであれば主体的に楽しくこなせますが、「義務」や「ルーティン」として捉えているものを楽しむことは難しいのかもしれません。

一方で、「自分主体層」で「家事が楽しい」と答えた人達の答えた理由の中には、シンプルに家事が好きという以外に家族が喜んでくれることを理由を挙げる人が男女ともに多く見られました。嫌い・得意ではない作業として家事をシェアしている場合にも、それぞれが日頃からパートナーの家事への感謝をしっかりと伝えられれば、「家事=家族が喜んでくれること」と感じられ、少し家事の時間がポジティブに受け取れるようになるかもしれませんね。

育児については「楽しい」と感じる人はもちろん、「辛い」と感じる人からも「子供の成長が楽しい」「子供が可愛い」といった、コメントが目立ちました。

しかし、「家事・育児シェア層」では、「子供の可愛さや成長は嬉しいが、それだけではない」といった声が、他の「家事・育児スタイル」よりも多く見られたのが特徴的でした。具体的なコメントとしては「正解がないことが大変」、「子供の将来や健康、成長などに対する責任が重い」といったものも。

育児は子供の未来を見据え、親が責任を持って方針を決めていく必要があるため、正解がない中で夫婦ですり合わせながら行うことが大変な側面もあるのかもしれません。ただ、二人で育児をシェアしている「家事・育児シェア層」だからこそ、子供の可愛さ・成長は二人で喜び、大変なことは二人で分かち合えるなど、密にコミュニケーションを取っていけると子育ての時間も豊かになっていくのかもしれませんね。


まとめ

今回の調査結果からは、「家事や育児のシェア」に関して、男女で意識の差があることや、家事・育児への取り組み方と「時間の過ごし方への満足度」との関わりなどが見えてきました。

日々の生活が忙しくても、家事・育児は欠かすことができないもの。その在り方は夫婦・パートナー間でさまざまですが、ちょっとした工夫や夫婦間のコミュニケーションで、大変に感じられる家事や育児の時間を今よりも良い時間に変えていけるものだと思います。

是非、いい夫婦の日というタイミングを機に、ご家庭での家事・育児の在り方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。