日本国内だけでなく、海外でも広く使われているTimeTreeにとって、ユーザーリレーションチームのグローバル担当は重要な窓口です。さまざまな地域でアプリを使うユーザーさんとのコミュニケーションをより良いものにするために、どのような工夫をしているのでしょうか?
#タイムツリーユーアール部 ではTimeTreeが日々続けるユーザーリレーション(User Relation)の取り組みを、さまざまな視点から連載形式でご紹介していきます。
今回は、ユーザーリレーションチームのメンバーで、グローバルコミュニケーションを担当するHanna(ハンナ)とHazel(ヘーゼル)に話を聴きました。
話を聴いたメンバー Essi ユーザーリレーション TimeTreeでのニックネームはHanna(ハンナ)。フィンランド出身。大学在学中に留学とインターンシップで来日。その後フィンランドに戻り、2019年に株式会社JUBILEE WORKS(現 株式会社TimeTree)にインターンとして参加し、2020年2月に入社。ユーザーリレーションチームで海外ユーザーの対応を担当する。
話を聴いたメンバー 近藤 由歩 ユーザーリレーション TimeTreeでのニックネームはHazel(ヘーゼル)。パートタイムのCSメンバーとして働いた後、2022年4月に入社。ユーザーリレーションチームで、海外のカスタマーサポートやSNSでのユーザーコミュニケーションを中心に担当。日々TimeTreeのファンづくりに取り組んでいる。
文化や考え方の違いが表れるグローバルカスタマーサポート
—— 普段はどんな仕事をしていますか?
Hanna 私は海外のユーザーさんとのコミュニケーション全般を担当しています。SNSの運用、お問い合わせの対応、アプリ内のコンテンツ発信、UIの文言翻訳などですね。
Hazel 私は、2022年4月に入社しました。いまはお問い合わせ対応をメインで担当しています。Hannaやほかのメンバーにも振り分けて、お問い合わせの内容ごとに分担しながら対応しています。あとは、各言語のヘルプページの更新もしています。掲載情報が古いままだとユーザーさんに混乱を与えてしまうので、カスタマーサポートには欠かせない業務です。
Hanna ヘルプページはユーザーさんの多い言語にはなるべく全部対応したいんですが、リソースにも限界があって。いまちょうどそのヘルプページの見直しをHazelが企画してくれています。
Hazel どの言語へ展開するにも、ベースとなるのは日本語版と英語版です。その2つを先に更新して、ドイツ語、韓国語、中国語にも反映していきます。それ以外にどの言語が必要か検討を進めています!
—— 日本と海外で、お問い合わせの内容に違いはありますか?
Hazel 海外のユーザーさんのほうが問い合わせ文面が簡素な気がします。日本のユーザーさんは、1度読めば状況が把握できるようなくわしい内容を1通目から送ってきてくださることが多いですね。
海外のユーザーさんは「使えない」「表示されない」とか、簡素なもののほうが多いので、まずなにが起きているかを探る必要があります。
おそらく、長文を書いたりメールを何通も往復さるのではなく、電話で話してパッと解決するのが彼らにとっては理想なんだと思います。お問い合わせの内容も、そこまでいろいろなパターンの問題があると思っていなくて、「表示されない」と言えば伝わると思っている感じですね。
Hanna 「まずは気楽に連絡してみる」という感覚が強いんじゃないかなと思います。私は以前、フィンランドのホテルでカスタマー対応の仕事をしていましたが、そのときも「予約できないんだよね」とフランクなメッセージがよく来ていましたね。
日本とほかの国とでは、文化や考え方がそれぞれ違うのでユーザーコミュニケーションにも大きな違いが出ます。それでも日本には丁寧に対応するサービスが多くて、カスタマーサポートの手厚さは素晴らしいと思いますよ!
—— とはいえ、「動かない」「使えない」からはじまると、1件のやり取りにも時間がかかると思います。なにか工夫していることはありますか?
Hazel まず、「いま起きているのはこういう問題だと認識していますが、どうですか?」と前提の確認からはじめます。
そこから考えられる対処法をいくつか挙げて、「この問題であればこういう対処をとってみてください」とヘルプページへのリンクを貼ります。メール1往復でもなるべく話が進むように、想像力を働かせていますね。
Hanna 問題の解決策については、社内のSlackのログを確認して似たような事象があったら見てみたり、それでもわからなかったらエンジニアに相談しています。
アプリ内の文言翻訳プロジェクトを各国のユーザーさんと協業!
—— カスタマーサポートだけでなく、SNSの運用など、ふたりはさまざまなコミュニケーション施策に取り組んでいますよね。
Hanna 私が入社して最初にやったのがアプリのローカライズです。イタリア語の追加と同時に、ほかの言語のクオリティ向上に取り組みました。直接現地のユーザーさんをリクルートして文言を確認してもらうことで、ヘルプページとアプリ内のさまざまな文言の翻訳精度を高める試みでした。
アプリ内の「お知らせ」で呼びかけたところ、フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア、マレーシア、インドネシア、タイのユーザーさんが協力してくれました。各言語のヘルプページとアプリの操作画面をチェックして、「ここが間違っている」「こういう表現のほうがいいよ」と提案をリストアップしていきましたね。
—— ユーザーのみなさんに協力してもらって、良かったのはどんなところですか?
Hanna TimeTreeを使い慣れた上で、アプリの文言をより自然な表現に置き替えられたのはユーザーさんならではだったと思います!
翻訳だけなら翻訳者を雇ったり、翻訳ツールを使えば済みますが、「こういう文脈ではこの言葉を使うよね」とネイティブらしい表現も提案していただけました。また、日本語は漢字が使えるので比較的短い文章で記載できますが、たとえばドイツ語は長い単語が多いので、短い言い回しを教えていただけたのは良かったです。
—— そのほかに、ユーザーさんに協力してもらって良かったことはありますか?
2021年5〜6月頃にTikTokでTimeTreeに関する動画が話題になったときも、ユーザーさんにいろいろ教えてもらいました。
ちょうど夏休みに入る直前に「地元に帰って友達と共有カレンダーをつくろう」という内容の投稿でした。当初は私たちにまったく心当たりがなかったのでアプリ内の「お知らせ」で「TimeTreeがSNSで話題のようですが、どの投稿かご存じですか?」と聞いてユーザーさんから元の投稿を教えてもらったんです。
このとき出会ったのが、TikTokで話題になった投稿をしてくれたGinaです。インタビューして、「なにか一緒にやりたいね」と言ったら「TimeTreeが大好きなのでぜひ!」と意気投合しました。いまはパートタイムでTimeTreeメンバーとしてSNS運用などを手伝ってくれています。Ginaには感謝しかないですね!
話題になった投稿
TimeTreeユーザーにアプリ内でヒアリング
TikTokのくわしいストーリーはこちら
アプリを愛用するユーザーさんと、TimeTreeの価値を発信する「アンバサダープログラム」
—— Ginaはアンバサダープログラムの運営もサポートしてくれているのですよね。アンバサダープログラムとはどのようなものですか?
Hanna アンバサダープログラムは2022年2月からはじめました。TimeTreeアンバサダーを任命してプロモーションを手伝ってもらっています。当初の目的は海外での利用動向をよりくわしく把握するためと、機能改善について気軽に相談できるユーザーさんのコミュニティを広げるためでした。
TikTokで話題になったいまならやる意味があると思ってスタートしましたね。2021年からHazelもパートタイムで加わって、メンバーも増えたからやってみよう! と。
Hazel アプリの「お知らせ」やInstagram、TikTokで呼びかけて応募してくれた中からアンバサダーを依頼して、「TimeTreeをこんなシーンで使っています」「TimeTreeを使いはじめて、仕事や普段の生活でこんな良いことがありました」と体験を広めてもらっています。2022年2月から7月までが1期、いまは2期の方々と活動しています。
Hanna 1期は利用歴の長い方、とくにお子さんのいるお母さんからの応募が多かったです。2期は学生の応募が多かったですね。1,000人以上の応募がありました!
1期は「子どもの習いごとや授業参観、仕事など家族の予定をTimeTreeで管理して、みんなでスキーに行きました!」みたいなエピソードが多かったです。2期は「最近TimeTreeを使いはじめました」「こういうところが良い」と率直におすすめポイントをシェアしてくれる人が多いです。
—— お母さんや学生からの応募が多かったということですが、アンバサダーはどのような視点で選出していますか。
Hanna SNSのフォロワー数が大体1000人ぐらいで、日頃からTimeTreeを使っている人にお願いしています。カレンダーに先々の予定まで入れているような、これからも使ってくれそうな人ですね。
国籍やバックグラウンドによってそれぞれの文化や使い方があると思うので、全体のバランスを考えながら選びました。
Hazel 長年アプリを使っていただいている人や、TimeTreeが生活に欠かせないツールになっていると言ってくれる方ばかりです。
なにより、TimeTreeのブランドに共感して使ってくれていることが一番重要なので、フォロワー数が少なくてもアンバサダーに選出する方もいます。国内でよくあるインフルエンサーマーケティングとは少し目的が違いますね。
日本国内では著名なインフルエンサーに依頼することが多いですが、私たちの企画するアンバサダープログラムは、ごく普通の一般の方々と進めています。
Hanna フォロワー数が多くて発信力が強いのは良いですが、元々ユーザーではないことが透けて見えると違和感がありますよね。新商品ならそれでも良いと思いますが、TimeTreeは長く生活の中で使われるサービスなので、実際に使っている方に発信してほしいと考えていました。
アンバサダーの投稿
なにごとも先入観で決めつけず相手を思いやる姿勢が大事
—— ユーザーさんとのコミュニケーションで、大切にしていることや意識していることはありますか?
Hanna なにごとも先入観を持たないようにしています。どういう状況でお問い合わせたいだいているのか、ファーストコンタクトではわからないことが多いですし、国籍や文化のバックグラウンドもばらばらなので、「この国のユーザーさんはきっとこうだ」と考えることはしないように心がけています。
Hazel 日本だとあまりないんですが、「He / She」など呼称の使い方はすごく気を使います。
たとえば自分ではなく自分のパートナーの端末で問題が起きている方からの問い合わせがあって、その方が「パートナー」と言っていればパートナー、「妻」と言っていれば妻と、相手の表現に合わせるようにしています。
基本的に相手の顔は見えませんし、私にとって第一言語ではないコミュニケーションなので、こちらの「丁寧」が相手に「おせっかい」として伝わってしまうこともある。そうすると円滑なコミュニケーションが成り立たなくなってしまいます。表現やプライバシーにはすごく気を付けていますね。
—— TimeTreeの仕事で「面白いな」と思うのはどんなところですか?
Hazel 会社のメンバーは、1人ひとりまったく違うひとが集まっているのに、フォローし合う、相手を気遣う優しさで全体が回っていると感じます。
会社って、年齢層も違えば文化も違う集合体じゃないですか。これだけ違うし、人数もいるのに、みんな相手を気遣うことができるというのは、すごくユニークで面白いですね。
Hanna なにより面白いのは、こういう会社が日本にあること(笑)。とても自由で、みんな新しいことが好きなんです。平日にどこか行きたいところがあれば、自分のタスクを整理して平日でも遊びに行ける。プライベートを尊重する働き方ができます。
そんな会社、なかなかないですよね。日本で働いたことのある海外国籍の友達にTimeTreeの話をしたら「えー!それって本当に日本の会社なの?」と驚かれますね。
TimeTreeを世界中でもっと愛されるアプリに
——今後やってみたいことや、次の目標はありますか?
Hanna また海外ユーザーと新しいプロジェクトをやりたいですね。海外のユーザーさんも着実に増えているので、もっと英語のコンテンツを充実させたいと思っています!
Hazel サービスとしてもブランドとしても、TimeTreeを好きなファンを増やしていきたいですね。
ユーザーさんがTimeTreeの良さを広めてくださったおかげで、新規のユーザーさんが目に見えて増えています。新しいユーザーさんにどこまでTimeTreeを好きになってもらえるか、そこが私たちのがんばりどころですね。どんなことができそうか、アンバサダーのみんなに聞いてみようかな。
Hanna もっと海外のユーザーさんに使いやすいアプリにしたいです。ローカライズは実施しましたが、今度は新しい機能を設計する段階からグローバルの考え方を取り入れていきたいですね。
TimeTreeは最初日本国内のユーザーさんしかいなかったので、海外ユーザーのリクエストに応えるのも大変だったんじゃないかな。最近はエンジニアも海外メンバーが増えているので、グローバルな視点でアプリの体験をもっと良くしていきたいですね。
—— そのためにも、世界中のユーザーさんとTimeTreeがつながる窓口をHannaやHazelが担っているということですね。ありがとうございました!
連載「タイムツリーユーアール部」
#タイムツリーユーアール部 ではTimeTreeが日々続けるユーザーリレーション(User Relation)の取り組みを、さまざまな視点から連載形式でご紹介していきます。今後の記事もお楽しみにしてください。
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編集後記
日本国内のユーザーさんとはまた違う勘所が必要なグローバルのユーザーコミュニケーション。持ち前のバイタリティで、海外ユーザーさんとの関係をどんどん築きあげていくふたりは本当に頼もしい存在です。
TimeTreeをより世界中で使ってもらえるサービスにしていくために、HannaとHazelがいままで培ったことは大いに役立つはず。ふたりの活躍に今後も期待です!
取材・文 吉澤 瑠美 @madams_lunch 企画・編集 渡部(TimeTree)