TimeTreeの強みを再生産するために、2020年11月にあたらしい人事評価制度をスタートしました!
この記事では、あたらしくスタートする人事評価制度の目的や内容を紹介します。制度策定に携わった代表取締役の深川(Fred)と、人事の奥村(Windy)に舞台裏のエピソードを聴きました。
ふたりによるとできあがった評価制度は「普通」(笑)。それでも背景や思いを聴くうちに私たちが大切にしたい考え方が見えてきました。
話を聴いたメンバー 深川 泰斗 CEO TimeTreeでのニックネームはFred(フレッド)。九州の大学院で社会学・文化人類学を学び、2006年にヤフー株式会社へ入社。ソーシャル・コミュニケーションサービスの企画を担当。2012年にヤフーからカカオジャパンへ出向後、2014年に株式会社JUBILEE WORKS(現 株式会社TimeTree)を共同設立。 おくむらなつこ 人事 TimeTreeでのニックネームはWindy(ウィンディ)。音楽学部でピアノを学んだ後、デジタルマーケティング業界の人事としてキャリアをスタートし、2020年TimeTreeに参加。パラレルワーカーで、「330日ゲーセンに通うOL」としてクローズアップ現代+、マツコの知らない世界などに出演。2019年よりアーケードゲーム機レンタルサービス「アケシェア」事業を展開中。
人事評価制度の仕組み
あたらしくつくった評価制度は、3つの軸で「TimeTreeへの影響度」を評価します。評価は「メンバー自身」と「他メンバー」とボードメンバーで構成する「評価委員会」で実施され、最終的には評価委員会が5段階のグレードを協議して決めます。
評価は客観性を高めるために普段の業務で関わりのあるリードメンバー1名・業務でよく関わるメンバー2名が評価委員会によって指名されます。被評価メンバーは評価へ加わってほしいメンバーのリクエストがあればプラス1名をだれでも指名できます。最大5名のメンバーで評価を実施するシステムです。
「TimeTreeへの影響度」は下記の視点で評価します。
評価対象メンバーのはたらきが、どのくらい事業の達成成否を左右するか? ex. 専門スキルの発揮(技術スキル、企画整理、対外コミュニケーション力 etc)
評価対象メンバーのはたらきが、どのくらい組織の力を引き出すか? ex. 他メンバーのサポート、リーダーシップ、組織の改善行動、ノウハウの共有
評価対象メンバーの行動・態度が、どのくらい社内外の人の行動に変化を及ぼすか?
評価対象メンバーは、どのくらいTimeTreeを代表して行動・発言できているか?
3つの評価軸は「バリュー」「業務遂行」「組織推進」にわかれ、それぞれのカテゴリーがさらに細かく20項目の評価内容が設定されています。
——制度設計に携わったFredとWindyに話を聴いてみます。まずは、評価の軸をなぜ「TimeTreeへの影響度」としたのですか?
Fred 会社のミッション達成のためには「事業に貢献できたか」だけでなく、「組織や周囲のメンバーの変化を促す動きができたか」という2つの意味での影響力が大切だと考えたからです。他社事例も参考にさせてもらいました。とくに参考にしたのがアメリカのコンピューターゲーム会社Valve CorporationがWebに公開している『Handbook For New Employees』の中にある評価項目です。
私がある程度の草案をつくってメンバーと何度も話し合ってまとめましたが、最終的には「普通」な評価制度になったかなと思います(笑)。
Windy でも、普通でいいと思いませんか? TimeTreeらしい制度になるよう議論を重ねた結果普通に落ち着いたなら、それは正しい気がしています。
給与の話は一番センシティブで誰にとっても大事なところだから、奇をてらうのではなく、まずは誠実に透明性を持って安心できる制度が土台にあるべきだと思います。
——評価者が複数名いたり、委員会があったりと、1人の評価に対して多くのメンバーが関わる印象があります。どんな意図があるのでしょうか?
Fred 自己申告と委員会からの評価を突き合わせ、なるべく多方面からの評価を考慮することで、誰か1人の思い込みによる結果になってしまわない仕組みにしています。また、評価項目に回答するのは、「対象者本人」「他メンバー」「評価委員会」です。「他メンバー」は業務でよく関わる2人の他、対象者が「この人に評価してほしい」と1人指名することもできます。こちらも誰かの思い込みやバイアスによって評価が左右されるのを防ぐため、4~5人以上からの回答を総合します。
人事評価制度をあたらしくつくった理由
TimeTreeは「Why(なぜそれをやるのか)」を大切にする会社です。この評価制度にも、もちろんWhyがあります。
——制度を作るときに「なぜ」から話し合ったのですね。
Fred そうです。「評価」というとどうしても、「自分がどう評価されるか」「他人をどう評価するか」を気にしてしまいがちですが、「なぜ評価をするのか」を意識をして評価する / されることで、より適正に、より目的にかなう評価のし方ができるはずです。
この評価制度では経営陣やプロジェクトリードだけではなく誰でも「評価“する”側」に回る可能性があるので、この「Why」は社内全員で共有しています。
Windy 私は評価制度を作っている途中で入社したのですが、評価を「する側」にも「される側」にも「Why」がしっかり浸透しているので、いきなりHowやWhatの議論に入れるのだなと感じました。これまでの経験だとWhyを分かってもらうのって大変なことが多かったのですが、TimeTreeではこんなにすんなり浸透していることに驚きもしました。普段からWhyを大切にする社風のおかげなんでしょうかね。
Fred そこから派生して「そもそも報酬ってなんだっけ」とか「ありがとうと言われるのは報酬じゃないの?」とか、そういう話も結構たくさん話しましたね。
人事評価制度を策定するまでのプロセス
評価制度は経営陣だけではなく、社内のメンバーみんなで話し合って作りました。話し合いには希望すれば誰でも参加できます。これがTimeTreeのスタイルです!
Fredが作成した草案をもとに、ミーティングでメンバーが各々の意見を出し合います。Fredがその意見を一旦持ち帰ってまた修正案を作り、それを元にまた話し合いをして……を繰り返して、制度設計を進めました。
——制度づくりの過程には、どのくらいのメンバーが参加したのですか?
Fred ミーティングは自由参加なので、「この時間にやりますよ」というアナウンスに添えたZoomのURLから入ってきた人全員が参加メンバーです。毎回10数名が参加してくれました。
予定があって参加できなかったメンバーも後から見られるよう、録画も残しました。録画を見て意見や提案があればそれぞれ自分のSlackのチャンネルにメモを残してくれるので、それらもすくい上げて次回の修正案に取り入れました。
——メンバーからはどんな意見が出てきましたか?
Fred 草案に書いたことを「つまりこういうことじゃない?」とかみ砕いてくれて、理解が深まるような意見が多かったので、「評価をする」ということの定義を改めて強化していけました。
Windyには入社前からそのミーティングに参加してもらって、検討中のところを見てもらったりしていましたよね。評価制度をゼロから作るためにタッグを組める人事の人をずっと探していて、やっとWindyに出会えたんです。
Windy 思想の部分、つまりWhyはもう大体決まっていたので、私が特別何かしたわけでもないんですよ。にやにやしながら聞いていました(笑)。ミーティングに参加させてもらったら、みんなすごく誠実だし協力的だし、予定があって参加できない人も含めて「みんなで制度を作るんだ」というコミット感が伝わってきましたね。
実際に制度をスタートしてみて……
最初に評価制度を作ろうという話が持ち上がったのは、2018年の夏でした。そこから評価の指針となるコアバリューの見直しや、新型コロナ感染拡大など社会情勢の変化による中断を経て、2020年11月にようやくTimeTree初の評価制度が形になりました。
そして同月、策定された評価制度によるはじめての評価が無事に行われました。決定したグレードや評価コメントと共に、評価内容を集計したグラフも各メンバーに送られます。
——はじめての評価が終わった今の感想はどうですか?
Fred まずはなんとか評価が実施できてよかったな、と……(笑)。やってみて分かったことも色々あります。答えにくい項目があったとか、項目同士でかぶる部分があったとか。次回以降見直したいですね。
みんなで色々考えたし、僕もはじめて評価制度についてこんなに考えたので、理解が深まったのもよかったと思います。
Windy 人事として、これまでの会社でも様々な人の評価コメントを見てきましたがTimeTreeでのコメントの質には驚きました。TimeTreeメンバーは、会社をよりよくするために、相手に伝えるべきことは良いことも言いづらいことも相手のことを考えて言葉にする人が多く感動しました。
今後、人事評価制度はどうなっていくのか
——制度の今後について、どのように考えていますか?
Fred 評価制度は一旦形になりましたが、これで完成ではありません。現時点で考えられる最善を目指していますが、「人が人を完璧に評価する」って、そもそも難しいと思うんです。
だから、この評価制度は今後もどんどん改善していきます。もしかしたら、1年後2年後には全く違うものになっているかもしれません。
——そのために、メンバー全員を対象とした「評価制度、どうでした?」アンケートを行っているんですよね。
Fred 「評価項目や評価する人数が適切だったか」「この評価制度が会社の成長に寄与すると思うか」などの意見を聞いています。アンケートの結果が楽しみですね。結果を分析して改善に活かそうとは思っていますが、全員が完全に納得するのは無理だとも思っているんです。残念ながら。
最終的には事業の成長を基準に、僕らが責任を持って経営判断するしかありません。だからこそ、僕や経営陣の思い込みやバイアスで評価が決まってしまわないための仕掛けを、評価制度の中に組み込みました。
また「評価」をされることには、日々の業務や活動に対するフィードバックを得られるというメリットもありますよね。その側面だけを切り出して、グレード決定のための年1回の評価制度とは別に、日常的にフィードバックを得られる仕組みを作りたいと思っています。バリュー発揮していると思った人にSlackの絵文字でリアクションして、それをチャンネルで集計するとか、「ここがすごい」と思うところをお互いに送りあうピアレビューとか、これから色々試していくところです。
——メンバーのひとりとして、今回の評価が自分の仕事やほかのメンバーとの関わり合いにどう影響するのか、しっかり振り返ってみたいと思いました。今後のトライもすごく楽しみです!
聴き手:渡部 晋也(Steve)、マリノ 五木田 梨絵 テキスト:内島 美佳
TimeTreeの採用情報
採用ページに募集ポジションやくわしい内容が載っています。ご覧ください!